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コラム

テレワーク成功への道!効率的な遠隔コミュニケーションの秘訣

テレワークで部下の本音を引き出す
上司の働きかけ

上司と部下の関係で何でも本音で話し合うのは難しいですが、部下が本音を話せない状態を放置しておくと、問題に気づけず対応が遅れたり、大切な人材の離職を招いたり、といったリスクが発生します。
しかし、上司と部下が直接顔を合わせる機会が少ないテレワーク中心の職場では、本音で話し合う関係を作るのは難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、テレワークで上司が部下の本音を引き出すにはどのように働きかけたらいいのか、について解説します。

部下は上司には本音を出しにくい

上司と部下という関係では、一般的に部下は上司に本音を言い出しにくいものです。上司が部下に「遠慮や忖度はいらない、本音で話してくれ」と伝えても、額面通り受け取って遠慮せずに本音を伝えてくれる部下は多くはないでしょう。
部下が本音を言いやすい場を作るのは、上司の役目です。

心理的安全性とは

人が心を開いて本音を言うためには、心理的に安心し、安全であると思えることが必要です。
「ここでは否定されたり、攻撃されたりしない」という安心感を「心理的安全性」と言います。

心理的安全性が高い職場には次のような特徴があります。
・誰もが自分の意見やアイディアを発言できる。
・自分とは違う意見も、違う視点からの建設的な意見の一つとして受け入れることができる。
・失敗は改善と成長のためのチャンスとして捉えられ、前向きに挑戦することができる。
・メンバーひとりひとりが、職場のなかで自分が大切にされていると感じ「職場に貢献したい」と思っている。

逆に心理的安全性が低い職場では、誰もが自分の意見を表明することをためらい、表面的な意見しか言えません。失敗を恐れて新しいことに挑戦できませんし、職場へのコミットメントや貢献意識も低くなります。
心理的安全性を高めることが、部下の本音を引き出し、モチベーションを上げ、働きやすい職場環境を作るのです。

テレワークでは信頼関係の構築が難しい

心理的安全性を高めることが大切なのは、テレワークでもオフィスワークでも変わりません。
オフィスで一緒に働いていれば、部下の様子を見て「業務が多くて疲れているようだな」「何か悩んでいるのかな」と察したらこまめに声をかけたり、休憩時間にコミュニケーションを取る、食事会や飲み会といった業務外の交流の場を設けるなど、さまざまな方法で部下に心理的安全性を高めるフォローができます。

一方、テレワークが中心の職場では、部下の様子を察することが難しいため、上司からタイミングを見て働きかけることができません。
さらに、ビデオ通話やチャットでは、表情や身振りなど細かいニュアンスが伝わりにくいため、上司は部下の小さな変化に気づきにくいという特徴があります。
部下のほうも、会社やチームとのつながりをあまり感じられず、自分の意見が受け入れられないと感じやすくなってしまいます。

このようにテレワークでは信頼関係を構築するためのハードルが高くなります。
オフィスワークで部下との信頼関係構築が得意な上司でも、テレワークではうまくいかない、と感じてしまうことがあるでしょう。
しかし、テレワークでも、上司が部下にうまく働きかけることで、心理的安全性を高め、部下の本音を引き出すことは可能です。

テレワークで部下の本音を引き出すには

テレワークでもオフィスワークでも心理的安全性のベースになっているのは、相手を信頼し、尊重するという姿勢です。
部下を信頼し、尊重するという基本姿勢のもと、普段のコミュニケーションや定例ミーティングなどで、次のような働きかけをしてみてはいかがでしょうか。

オープンクエスチョンを投げかける

心理的安全性を高めるためにオープンクエスチョンは有効な手法です。オープンクエスチョンとは単純に「イエス」「ノー」で答えられない、多様な回答がある質問のことを言います。

オープンクエスチョンの例
「あなたの意見はどうですか?」
「目標を達成するためには何を改善すればいいと思いますか?」
「もしあなたが決定権を持っていたらどんな戦略を採用しますか?」など

オンラインミーティングの際などに、部下にオープンクエスチョンを投げかけてみましょう。
オープンクエスチョンは部下に自分の意見や感情、アイディアを深く掘り下げて考え、共有する機会を提供します。これによって、コミュニケーションが促進され、より深い理解や共感を生み出すという効果があります。
部下の回答に対し、上司は否定せずに、真摯な姿勢で耳を傾けることも大切です。 そうすることで、部下は自分の考えや感情、アイディアを尊重してもらえると感じることができます。

自分の失敗体験を伝える

部下に対して成功体験を語る上司は多いですが、心理的安全性を作るのにつながるのは失敗体験のほうです。
オンラインで行うミーティングのテーマを「失敗談」にするなどして、上司が部下に自分の失敗体験を語る機会を設けましょう。
失敗談を語ることで、部下は上司の人間味を感じ親しみと敬意を覚え、部下も自分の本音で話しやすくなります。 ただの失敗談で終わらせずに「その経験から学んだこと」を伝えることで、部下は失敗が必ずしも否定的なものではなく、改善と成長の機会だと感じることができます。

建設的なフィードバックをする

テレワークでも上司から部下へのフィードバックは必要です。
直接顔を合わせるときもそうですが、ニュアンスが伝わりにくいテレワークでは特に、部下にフィードバックをする際には「よかった点」を具体的に見つけて伝えるよう意識しましょう。
気になる点は「ダメ出し」にならないよう「この点に気をつければもっとよくなる」というスタンスで伝えます。
チャットツールやメールを使ってのフィードバックをする場合は、より前向きな印象になるよう文章を事前に推敲してから送信するといいでしょう。
評価してもらえているという実感から心理的安全性が高まり、部下は本音を話しやすくなります。

すぐに対応できない場合も、返信する

テレワーク中の部下から連絡を受けた際には、できるだけ早く何らかのレスポンスをするよう心がけましょう。
テレワーク中の部下からは、上司の様子を察することができません。
返信が遅いほど「送った内容に不備があったのではないか」と不安になったり、「見てくれていないのではないか」と疑心暗鬼になってしまう恐れもあります。
すぐに確認できなくとも、上司から「受け取りました」「時間がないので今は確認できませんが、◎日までに見ておきます」などの反応があれば、部下も安心して待つことができます。

まとめテレワークでも部下の本音を引き出せる

テレワークで心理的安全性を高め、部下の本音を引き出す方法について解説しました。
テレワークでは、直接的なコミュニケーションは減少しますが、部下ひとりひとりの状況やペースに合わせたオンラインコミュニケーションは増やすことが可能です。
面と向かって会話するのが苦手な人や、じっくり熟考して自分のペースで答えたい人などは、オンラインのほうが本音で話せる、ということもあるでしょう。
テレワークだから、と諦めず、上司のほうから、積極的に部下に働きかけていきましょう。

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