オンラインコミュニケーションの
誤解を防いで、意志疎通をスムーズに
業務上の連絡や情報共有などコミュニケーションの多くが、ウェブ会議やメール、チャットなど、オンラインで行われるテレワーク。
時には、リアルな対面コミュニケーションでは発生しないような、思わぬ誤解が生じてしまうことがあります。
どうしたら誤解を避けてスムーズに意志疎通ができるのか、今回はオンラインコミュニケーションでの誤解を防ぐコツについてお伝えします。
オンラインで生じやすい誤解とは
オンラインコミュニケーションで生じる誤解には次の2種類があるのではないでしょうか。
- 伝えたいことが上手く伝わらず業務に影響する「情報そのものの誤解」
- 発言や感情が悪い方に解釈されてしまう「人間関係の誤解」
メール内容を誤解して間違った作業をしてしまったり、締め切り日を誤解してしまったりというのは前者。
別に怒っていないのに不機嫌だと思われてしまったり、相手のメールの文面に腹が立ってしまったり、というのは後者です。
どちらかの誤解が独立して発生するのではなく、部下が「上司は怒っている」と誤解しているために適切な質問ができず情報が間違って伝わってしまう、といったこともよくあります。
では、オンラインではどのような誤解が生じやすいのか、よくあるケースとともに見ていきましょう。
言葉のニュアンスが伝わりにくい
チャットやメールなど、オンラインでのコミュニケーションではテキスト(文章)が多く使われますが、書き言葉ではニュアンスが伝わりにくいことがあります。
ケース①
上司が部下に「タスクの進捗はどうなっていますか」とチャットしたところ、部下は「仕事が遅いと思われている、急かされている」と感じ、ストレスを抱えてしまった。上司はただ進捗が把握したかっただけで、プレッシャーをかける意図はなかった。
上記のケース①では部下は上司からのチャットを、自分の働きぶりへの不満や催促と受け取りました。
リアルに会って話しているときには、相手の声のトーンや口調などから細かいニュアンスも伝わりますが、テキストだけの会話では、細かいニュアンスが表現できず、冷たい印象を与えてしまったり、意図とは違う伝わり方をしてしまうことが往々にしてあります。
画面では「空気」が伝わりにくい
オンライン会議では、画面は見えていても、その場の「空気」までは伝わらないため発言のタイミングをつかみづらいと感じたり、相手の反応がわからず意思疎通が取りづらいと感じることがあります。
ケース②
上司は部下の提案を感心して聞いていたが、相槌をうつこともなく無表情だったため、部下は「上司は自分の提案を聞く気がない」と感じた。
ケース②は、上司の表情やリアクションが部下に伝わらなかったために生じた誤解です。 オンライン会議では、声のトーンや顔の表情、身振り手振りなどが伝わりにくく、相手の感情や意図を読み取る手がかりが減少します。「相手に理解してもらえたのだろうか」と不安を感じてしまうこともあるでしょう。
誤解を避ける実践的なコツ
オンラインコミュニケーションで生じがちな誤解を防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか。
今すぐできる実践的な「コツ」をお伝えします。
チャットやメールの表現に気を配る
・ていねいに伝える
人間関係の誤解を防ぐために、ていねいに伝えることをおすすめします。
ぶっきらぼうな文章では「怒っているのでは?」と思われてしまいます。リアルなコミュニケーションでも「忙しいところ悪いけど」「もしよかったら」などの言葉を添えるのと同じように、オンラインでも一言添えることをおすすめします。
・理由を伝える
人間関係の誤解を防ぎ、また同時に情報そのものの誤解を避けるためにも、連絡の内容だけでなく、なぜ、なんのために、連絡をしているのか、理由を伝えることおすすめします。
例えば、進捗を問い合わせる際に、ただ「いつまでにできるか」と聞かれただけでは、急かされているように感じてしまいます。「急ぎではなく定期的な進捗確認です」「次の工程の手配のため把握したい」など、一言添えると、問合せの意図が伝わり、誤解が生じにくくなります。
・顔文字や絵文字の活用
文字だけのコミュニケーションでは「冷たい」と感じてしまう人は少なくありません。顔文字や絵文字を少しだけ加えることで、感情が伝わりやすくなり、人間関係の誤解を防ぐことができます。
・改行や1行空きを入れる
情報そのものの誤解を避けるために、チャットやメールなど文章でのコミュニケーションでは、見た目の「読みやすさ」を意識しましょう。
文字が詰まっていると読みにくく、内容が伝わりにくいため誤解を生じてしまうことがあります。
・文章を読み直す
情報そのものの誤解を避けるため、誤解を呼びやすい表現はないか、送信前にもう一度見直してみましょう。
・意図を確認する
情報そのものの誤解を避けるためには、「●●と理解しましたが、よろしいでしょうか?」など、相手の書いた文章と、自分の理解との間に齟齬がないか、すり合わせることも有効です。
オンライン会議ではどう見られているかを意識する
・表情や身振り手振りを意識する
「不機嫌」「怒っている」と誤解されがちな人は特に、相手の話を聞いているとき自分がどんな表情をしているのか、少し意識してみましょう。
笑顔でうなずくだけで、相手は「話を聞いてもらっている」「理解してもらっている」と安心できますし、意見が言いやすくなり、議論が活発になります。
またオンライン会議中はカメラを直接見るようにすると、相手に目を向けて話している印象を与えることができます。
・声のトーンを明るくする
ぼそぼそとしゃべっては不機嫌な印象を与えてしまいます。明るいトーンで会話することをおすすめします。
・カメラと照明を調整する
暗いと表情が分かりにくいため、顔が明るく映るようカメラと照明を調整しましょう。
・画面のシェア、画像の共有
情報そのものの誤解を避けるため、言葉だけで伝わりにくい事柄は、できるだけ画像や図解で伝えましょう。画面シェアや画像共有などができるのは、オンラインコミュニケーションならではのメリットです。
・記録を共有する
情報そのものの誤解を避けるために、話し合いの内容や決定事項は、あとで振り返って確認できるようにしておくことをおすすめします。会議そのものの記録をクラウドに保存したり、音声起こしアプリやAIによる要約作成なども活用できます。
相手を人として尊重する
・まめに連絡をとる
テレワークではちょっとした雑談や声かけが減ってしまいがちです。上司が率先して連絡をとり、気軽にコミュニケーションできる関係性を作っておくことが大切です。
「恐い」「連絡がとりにくい」というイメージを払拭できれば、部下の方からも連絡や報告がしやすくなるため、平常時の業務効率がアップし、トラブル対応もスピーディになります。また、部下の状態の把握もできるため、心身の不調に気づけるようになります。
・感謝も伝える
プラスのフィードバックは意識しないとなかなかできないものです。
円滑なコミュニケーションのために、短くてもかまわないので、感謝はきちんと言葉にして伝えましょう。
「ありがとう」「助かった」などのポジティブな言葉を互いに伝え合うことで、コミュニケーションが活性化されるとともに、従業員のモチベーション向上にもつながります。
・リアルなコミュニケーションも大切にする
出社とテレワークのハイブリッドワークをされている方も多いのではないでしょうか。 テレワーク時のコミュニケーションを円滑にするためには、日頃から相互理解を深め、信頼関係を築くことが大切です。オフィスに出社して仕事をする際は、ちょっとした声かけや雑談など、対面ならではのコミュニケーションを積極的にとるよう心掛けてみましょう。
まとめ「基本」はリアルと変わらない
オンラインコミュニケーションの誤解を防ぎ、スムーズに意志疎通するにはどうしたらいいのか、その方法について考えました。
オンラインのコミュニケーションでもリアルなコミュニケーションでも、大切なのは、相手を尊重する気持ちと、それを行動として表すことです。
そう考えるとオンラインでもリアルでも、コミュニケーションの基本は変わらないといえそうですね。
人と人とのつながりを大切にして、テレワークを成功に導いていきましょう。